大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(オ)73 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人訴訟代理人弁護士国井俊雄提出の上告理由書は、末尾添付の別紙記載のと

おりである。之に対し当裁判所の判断は次のとおりである。

上告理由第一点について。

所論の原判決の前段の認定は、被上告人と上告人間における支払方法に関するも

のであり、次で後段の認定は、上告人と訴外会社(D航空兵器株式会社)間におけ

る出来高に対する処置方法に関するものであつて、此前後の認定は何等矛盾するも

のではない。蓋し訴外会社における最終検査の結果を俟たずして、先ず上告人会社

の検査の結果を基準とし、上告人会社から被上告人会社が受くべき加工賃の支払時

期を定むることは、取引界に多く存する事例であつて毫も之を以つて異とする理由

はないのである。論旨は理由がない。

上告理由第二点について。

原判決は、終戦後納入した加工完成品の加工賃はその金額及び支払期等はすべて

終戦前と同様として支払うことに、昭和二十年九月中上告人被上告人間に暗黙の合

意が成立したものであることを証拠に依り認定しているところである。そして原判

決の挙示する証拠に依れば、右事実は十分に認定し得られるのである。論旨は、本

件加工物件は終戦に因つて全然無価値になつたのであるから、当事者間終戦前と同

一の單価に依つて納入せらるゝ筈はないと主張するけれども、右加工物件が終戦に

因つて無価値になつたという事実は原判決の確定していないところであるばかりで

なく、仮に価値が減少し若しくは無価値になつたものとしても、既に終戦前に加工

済のものに対し、最終下請人の地位にある被上告人に当然にはその損害を歸せしむ

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る理由を発見し得ないのであつて、寧ろかゝる場合当事者間従前どおりの單価に依

り加工賃を支払う旨の合意が成立することは、実験則上から考えても不自然や不合

理の事柄ではないのである。左れば論旨は結局原審の専権に属する証拠の取捨判断

並びに事実の認定を非難するに歸着し、上告適法の理由とはならないものである。

上告理由第三点について。

原判決は終戦前上告人会社の検査に合格して納入した物件の加工賃は毎月二十日

締切り翌月五日支払の契約であり、終戦後納入した完成品の加工賃の支払期も終戦

前と同一とすることに、昭和二十年九月中当事者間に暗黙の合意が成立した事実を

夫れぞれ証拠を挙げて認定し、右に反する上告人の主張事実は証拠上之を認め得な

い旨判示しているのである。而して右に関し何等審理不盡又は判断遺脱の違法等は

ないのである。論旨は右加工賃の支払期に関する第一審以来の主張を繰り返してい

るに過ぎないものであつて、上告適法の理由とならない。

以上のとおり本件上告は何れもその理由がないから、民事訴訟法第四〇一条第九

五条及び第八九条に従い、主文のとおり判決する。

此判決は裁判官全員一致の意見である。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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